HOME > ピラミッドメソッド幼児教育法

“これからの未来を担う子どもたち。その一人ひとりの成長を支援したい。
子どもと遊びを大切にする想いが根底に息づくピラミッドメソッドは、
保育が子どもの育ちの土壌であることを私たちに再確認させてくれます。
保育の土台固めのお手伝いをするため、オランダのピラミッドメソッド教育法をご紹介しています。

人生の課題を自ら処理できる子どもをめざして

新しい保育・教育のあり方が模索され始めて久しい今日、子ども達に安定した心の保障をあたえ、自ら考える力を獲得するための意欲を育む教育が今の日本に求められています。
ピラミッドメソッドでは、子どもに寄り添い、安心感が満たされてこそ学ぶ意欲が育つことを最も大切にし、子どもの生活体験に根ざした「遊び」を中心にして学ぶ新しいスタイルが取り入れられています。ピアジェやヴィゴツキーなど新旧の様々な教育理論をベースに整理された幼児教育であり、子どもの遊ぶ(学ぶ)意欲を引き出すための保育環境づくりや保育内容が特徴的で、テーマ性をもつ「プロジェクト」という保育活動を提唱しています。


●オランダは世界一子どもが幸福な国

2007年2月、ユニセフは、OECD(経済協力開発機構)加盟の25ヶ国を対象とした子どもの幸福度調査の報告書を発表しています。その結果によると、オランダが総合1位に選ばれています。この調査、『幸福度調査』と呼ばれていますが、英語では『An overview of child well-being in rich countries』と表記されています。
“Well-being”とは、健康と安全、家族や社会から大切にされているという質的な満足感や、自分の存在が評価されていると感じることなど、簡単に訳せない多くの意味を含んでいます。物質や制度など目に見えるものを手に入れたら満たされるものではなく、そのもっと深くにある『居心地の良さ』だと思います。
ピラミッドメソッドは、1994年にCito(オランダ政府教育評価機構・1999年に民営化)によって開発された幼児教育法であり、『自分で選択して決断できる力を養うこと』に重点を置いています。『あなた自身とその意思』が認められていること、決断をあたたかく見守ってもらえるオランダならではの教育法です。


①4つの基礎石(基本概念)


◆子どもの自主性(やる気)

子ども達が自分を取り巻く世界を理解するためには自主的に取組むこと、そしてその自主性を維持させることが何よりも大切です。子どもたちは「認められたい、自信を持ちたい」という養護的な要求と、「学びたい、探索してみたい」という教育的な要求を持っています。まずは養護的要求が満たされてこそ自主性は育まれ、充分に発揮することができます。

◆保育者の自主性(働きかけ)

子どもの自主性を育むため、保育者には子どもの要求を考慮した働きかけが必要とされます。まずは、安心できる保育環境の提供、変わらない情緒的な支援、自身の能力を信じて行動できるように支援するといった安らぎを与える働きかけ。その一方、教育的な観点から、発達を活性化させるために学びに明確なねらいをもって活動をすすめたり、学びに段階を設けたり、子どもの遊びや発達の状況に応じて支援方法に段階を設けるなど幅広い教育技能でもって働きかけることも必要です。

◆寄り添うこと(nearness)  養護的内容の基盤となる理論

母親と子どもの良好な関係がもたらす影響に注目した“アタッチメント(愛着)理論”から、その愛着は保育者と子どもの関係にもあてはまることをピラミッドメソッドでは唱えています。子どもが安心して探索活動にエネルギーを注げるようになるには、保育者が子どもと良好な信頼関係をきずくことが最も重要です。また、このような感情は、自分自身と他者を信頼することにつながります。

◆距離をおくこと(distance)  教育的内容の基盤となる理論

「今、目の前にある」物事だけを学ぶのではなくて、「目に見えないもの」にも焦点を合わせる学びが、子どもの発達を促す上で大切である、という“ディスタンシング理論”を適用しています。発達段階に合わせて、子どもに身近で具体的なことから取組みを始め、徐々に外の世界・抽象的な世界へと導く中で、表現することに挑戦させて発達を促します。



子どもには充分な寄り添いがなければ、探索はできません。ピラミッドメソッドでは 養護 の土台の上に 教育 が成り立つという子どもの発達のビジョンをしっかりと持っています。その中で、この4つの基本概念は相互に関連し合い、ピラミッドメソッドにおける全活動の「基礎石」となる役割を担っています。


②目に見える保育環境

4つの基礎石をベースに、ピラミッドメソッドでは遊びと学びの保育環境が充分に整えられた保育室を提唱しています。その中でも、目に見える形で遊びを準備することは、子どもが自主的に遊びに取り組むため、自律性を養うために重要です。準備された遊びのコーナーのどこで遊ぶのか、子ども自身が選択をして少人数のグループ、または一人で遊びます。

③保育活動「プロジェクト」

ピラミッドメソッドにおけるプロジェクトは、断片的になりがちな日常の保育活動の中にテーマ性とねらいを明確に与える保育方法です。プロジェクトのテーマは11ヶあり(大きさ、数、色と形、家など)、ひとつずつではバラバラのように見えても、様々なテーマのプロジェクトを徐々に難易度をあげながら、3年間繰り返し取り組むことで、子どもの発達は八つの発達領域すべてにおいて促されます。
子どもは日々の遊びや経験を通して学びます。子どもの興味に焦点を当てたプロジェクトでは、子どもに寄り添った身近で具体的な話題で遊びに引き込み、テーマに沿った遊びの活動をグループ全体で、小グループで、そして一人で行ううちに、次第に距離をおいた抽象的な概念の獲得へと子どもたちを導きます。その活動の姿は、「保育者 対 子どもの集団」という一方的な伝達による教育風景ではなく、「保育者と子ども、子ども同士」という相互的な学びであることを大切にしています。また、充分に遊べていない子どもに対する保育援助としてのチューター(より専門性のある保育者)カリキュラムや、保護者活動のカリキュラムも充実しています。


(*)・・・ピラミッドメソッドでは、子どもの発達を個性・情緒・知覚・言葉・思考・空間と時間の理解・運動・芸術という八つの領域に分類しています。



ピラミッドメソッドを導入された保育園・幼稚園さんからのお声で多いのは、子どもだけではなく、保育者にも変化があることです。少しだけ、ピラミッドメソッドを導入された園の声をご紹介。
書籍『世界で一番幸せな子どもたち』にも導入園の変化が掲載されていますので、参考にしてください。

こどもの変化:

・安定して、しっかりと遊びを満喫している。遊びにも広がりがある。
・子どもたちの言語表現が具体的になった
・自分で解決しようとする力がついた
・自主性が育ち、一人ひとりが自信をもって活動している

保育者の変化:

・子ども一人ひとりの顔がよく見え出したことで、配慮が必要な子に寄り添いやすくなった。
・プロジェクトの準備により、新に気づくことや使う言葉が増えた。
・子どもとのやりとりが増え、手ごたえややりがいを感じて保育の楽しさを実感。
・保育者同士の意見・情報交換が活発に。

ある園長先生は、「子どもとの関わり方や探究心など、今まで埋もれていた保育士たちの力が見えてきた。保育に核ができたことは、保育士にも子どもにも同じように核となり、全体的に安定した」と話してくださいました。


子どもと育ち総合研究所では、「基礎理論講座」を開催しています。

「 ピラミッドメソッド幼児教育法 基礎理論講座」

ピラミッドメソッドの核となる基礎の本、『ピラミッドブック基礎編 【改訳版】』を紐解いていく講義です。このブックをベースに、ピラミッドメソッドの基礎理論・考え方をオランダでの保育の様子や日本での実践例などを交えながらお伝えしております。


ピラミッドメソッドには、基本概念やプロジェクトの実践方法などが書かれたブックが揃っています。全36巻(2015年5月、すべての翻訳・出版を終えました)にもわたり、ピラミッドメソッドの全てが詰まった集大成といえます。日々、保育現場で子どもと向き合う保育者の皆様への具体的な指針となり、明確な実践書となりえます。
詳細は“関連書籍販売”のページよりご覧ください。

また、ピラミッドメソッドと保育カリキュラムについては、こちらのパンフレット(PDF)もご覧ください。